持続化補助金
2022.02.28東京都台東区の江戸切子制作会社が現代風のグラス開発のため、機械購入費などを持続化補助金で充当した例
事例詳細
【業種】製造業(陶磁器)
【エリア】東京都台東区
【社員人数】3名
持続化補助金(一般枠)
50万円受給額50万円
お悩み
浅草で江戸切子の工場を運営しています。江戸切子は東京伝統のガラス細工として、観光客の方に人気の商品です。見た目も涼やかであり、真夏にビールや清涼飲料水などを入れて飲むと、心も涼しくなります。
結婚式などの引き出物にも購入していただいているものです。東京オリンピックの観光客を期待していたのですが、残念な結果になってしまい、当面観光客が期待できない中で、新規顧客を開拓する必要が出てきました。
江戸切子は職人による手作業がウリですが、ガラス細工を研磨する時にはオーダーメイドの機械を使うこともあります。
今まで江戸切子に触れたことがない層、主に若い世代にアピールするため、小型のキーホルダーや携帯電話につけられるアイテムの開発に取り組むことにしました。
すごく小さなガラスを研磨していくので、それ用の機械を導入しなければなりません。東京商工会議所台東支部に相談に伺ったところ、小規模事業者持続化補助金(一般枠)というものを勧められました。
コロナウィルスの影響を避けるための対人接触云々ではないので「一般枠」で申請した方がいいということです。補助金で審査があるので、商工会議所の方のアドバイスを受けながら「支援事業計画書」などを作成しました。
当社の技術力や新しい研磨機械導入による売り上げ増の見込みなど、客観的な指標について、商工会議所の方にアドバイスいただけたので本当にありがたかったです。
結果
おかげさまで、審査(採択率約50%)もパスして、補助金を受け取ることができました。80万円の機械のうち補助金上限50万円(80万円の3分の2は54万円)を受給することができ、金銭的にも助かりました。
新しい研磨機械によって、若者向けの江戸切子で小さなアイテムについても問題なく作ることができました。
店頭販売がメインなので、当初は計画通り売上が伸びず、焦ったこともありましたが、徐々にInstagramなどに投稿され、口コミで若い人にも宣伝されるようになりました。
最初から広告を打つのではなく、このように口コミでバズって行くのは、最近の特徴なのでしょう。学校帰りの高校生や大学生、若いカップルなども商品を手に取ってくれるようになりました。
どんどんSNSに投稿してくれるので反響がすごく、売上も前年の1.5倍くらいになりました。こうして江戸切子の魅力をしていただいた若い世代が、さらに子どもの世代に良さを引き継いでくれると、当社の売上云々ではなく、江戸の文化継承の意味でも非常にありがたいことになります。
持続化補助金は1つのきっかけではありましたが、費用の3分の2を補助していただけるということもあり、思い切って新製品を開発する動機づけになりました。
適切なアドバイスをしていただいた商工会議所の方にも感謝しています。伝統に安住しているのではなく、今の時代に合った商品開発、経営を心掛け、伝統と創造を実践することで、時代に適した江戸文化の伝承になるのだとつくづく思いました。
アドバイス
昨今の補助金はほとんど新型コロナウィルスの影響を緩和するためのものだと思われがちですが、従来からある補助金も並行して実施されています。コロナの影響を緩和する「守りの経営」ではなく、関係ない「攻めの経営」を行うための補助金として、持続化補助金(一般型)を利用することができます。
今、非コロナ関係の補助金はねらい目でもあります。