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2022.05.25

補助金と助成金、給付金の違いとは?それぞれのメリットと注意点について解説

企業の業績アップやコロナ禍対策のために、補助金や助成金、給付金などが実施されています。企業側はこれらの支援を受けて、売上を向上させたり雇用の安定に役立てます。補助金や助成金、給付金の中には、申請すれば比較的容易に採択されるものから、ハードルの高いもの、新型コロナに特化したものまでさまざまです。ところで、補助金と助成金、給付金は何が違うのでしょうか。

補助金や助成金、給付金は種類も多く、受けられる対象もさまざまで、どれに申請すればよいのか、わからないという事業者も多いでしょう。本記事では補助金と助成金、給付金の違いと、それぞれのメリットや注意点について解説します。補助金や助成金、給付金のいずれかの申請を検討している事業者は、ぜひ本記事を参考にしてください。

補助金と助成金、給付金は何が違うのか?

補助金や助成金、給付金は国や地方自治体、民間団体などが支出するもので、原則として返済する必要はありません。このうち、補助金は目的がはっきりしており、あらかじめ予算も決まっているので、審査の上採択されますが、予算額に達しそうになると採択率が下がり、帳尻を合わせる傾向があります。これに対して助成金は、一定の条件を満たせばほぼ採択されるので、補助金に比べるとかなりハードルが低くなっています。給付金は、病気や被災したなど、定められた条件に合う状態なら、ほぼ100%採択されるので、さらにハードルが低いです。では次に、補助金、助成金、給付金の特徴を見てみましょう。

補助金とは

補助金は、国や地方自治体などが、ある目的のために予算を計上して交付するものです。予算に限りがあるため、申請すれば誰でも受けられるものではありません。最初から支給する目的が定められているので、使用目的が限定されているのも特徴と言えるでしょう。補助金を申請するには、補助金の目的に合った事業を実施しないと、補助金を受けることはできません。

補助金は、国が何らかの目的のために実施するもので、新規事業や中小企業の活性化、創業促進など、さまざまな目的を遂行するために実施されます。そのため、社会情勢や経済状況などによって、新たな補助金が開設されたり、これまであった補助金が廃止されたり、他の補助金と統合されることもあります。このように、状況によって変わるのも補助金の特徴です。国が何らかの目的で実施するので、目的を達成したら、その補助金は廃止になることもあります。

補助金の翌年度の予算は、12月頃に決定することが多いので、廃止になる場合はこの時点で予算に計上されません。補助金の公募は、4月か5月頃から始まるものが多いのですが、予算の制限があるため、人気の高い補助金は2~3か月で終了する場合もあります。人気の高い補助金には、多くの申請が殺到するので難易度が高くなりますが、採択されれば他の補助金より大きな補助額を、好条件で支給してもらえます。

概要

補助金を申請するには、実施する事業の事業計画書や添付資料など、多くの書類が必要になります。もちろん、事業計画書やその他の資料は、補助金の目的に合ったものでないと、申請しても採択されず補助金は支給されません。提出書類は細かい部分までチェックされるので、書類の作成は慎重に行わなければならず、しかも予算に限りがあるため、採択されるのはかなり困難です。

書類の作成にかなりの労力が必要なので、申請しても採択されなければ、多くの時間を無駄にすることになります。しかも、補助金は原則として後払いなので、補助事業にかかる費用は、一旦事業者が立て替えて支払う必要があります。つまり、補助金で何割か負担してもらえるといっても、一度は全額自己負担で支払わなければならならいのです。

また、自己負担で支払ったあとに補助金が支給されますが、不採択の場合は補助金が支給されないので、全額自己負担のまま終わることもあります。そのため、全額自己負担の可能性も考えて、資金を調達しておかないと、今後の資金繰りに影響が出るおそれもあるので注意が必要です。

メリット

補助金には、以下のようなメリットがあります。

・補助金の種類が豊富
・支給額が大きい場合が多い(数百万~数億円)
・経費の適用範囲が広い

補助金は、種類が豊富なので選びやすく、支給額も大きいので、規模の大きな事業にも役立ちます。また、経費の適用範囲が広く、いろんな使い方ができるのも補助金の特徴です。

注意点

補助金は公募期間が短かく、しかも年に数回しか公募がありません。また、予讃が決まっているので、申請しても採択されないケースも多く、特に年度の後半になると、採択率が低くなる傾向があります。支給までに時間がかかるのも、補助金の注意すべき点で、申請から支給までに、数カ月から1年以上かかることもあります。

また、補助を受けられるのは事業の一部だけの場合が多く、それ以外は自費負担となります。補助金によって補助率や支給金額が異なり、一旦審査に通っても、その後の審査により金額が変わることもあります。さらに、支給後に一部返還を求められることもあるので、最後まで気が抜けません。申請には事業計画書や添付資料など、多くの書類が必要で、書類作成だけでもかなりの労力が必要なのも、補助金の注意すべき点でしょう。

助成金とは

助成金は、主に厚生労働省や経済産業省が主催する、事業者への支援制度です。雇用促進や人材育成を目的にして、実施されることが多いのも助成金の特徴です。

概要

補助金が企業の事業促進や業績アップに、ポイントを置いているのに対して、助成金は労働環境の改善や、人材育成をサポートするために実施されています。厚生労働省の助成金は、雇用促進や人材育成が主な目的ですが、経済産業省の助成金は、新商品開発やサービスの研究開発などのためにも使われます。補助金と同じように、申請するには一定の条件があり、それをクリアしないと採択されませんが、条件を満たせばほぼ100%給付を受けられます。つまり、助成金は補助金よりずっと申請しやすく、採択されやすいのです。補助金のように予算の制限もなく、採択件数も気にする必要はないので、比較的容易に申し込めて採択されやすいのも、助成金の特徴と言えるでしょう。

メリット

助成金は、年間を通していつでも申請可能です。補助金は公募期間が決まっているので、その期間内に申請しないと受け付けてもらえませんが、助成金はいつでも申請できるため、必要な書類の作成も特に急ぐ必要はありません。このように、自社の都合に合わせて申請できるのも、助成金の特徴の1つです。また、条件に一致していれば、ほぼ採択されるので難易度が低く、申請しやすいのも助成金ならではと言えるでしょう。

助成金を申請するには、就業規則、雇用契約書(労働条件通知書)、出勤簿、賃金台帳などが必要になります。これらを準備する過程で、人事や労務管理体制を見直すことになるので、助成金の申請が、企業の体制の強化につながるという一面もあります。人事労務管理は、労使間に深く関係するもので、企業の根幹ともいうべき人材育成や、管理体制にも影響を及ぼすものです。

そのため、人事労務管理を見直すことは、企業の体制の強化や労使間のトラブル防止、労働環境の改善にも役立ちます。人事労務管理を整備すると、従業員の処遇の改善や職場環境の改善につながるので、従業員の離職を抑える効果があり、新たな人材の確保も容易になるという、副次的な効果も期待できます。

注意点

人気のある助成金は、公募してすぐに受付終了になることもあるので、早めに申請することが大切です。助成金は、補助金と比べると支給額が少ない傾向があります。つまり、助成金は補助金より支給されやすいものの、受け取れる金額が少ないので、あくまで一部の資金を補填するものとして、考えたほうがよさそうです。補助金も自己負担分が少なくありませんが、助成金はもっと自己負担分が大きくなります。

また、申請してから交付までに、1年半ほどかかる場合もあるので、すぐに助成してもらいたい場合は、間に合わないので注意しましょう。助成金も補助金と同様に後払いなので、一旦全額自己負担となるため、それだけの資金を用意しておく必要があります。しかも、助成金はすぐには支給されないので、助成金をあてにした資金繰りをしていると、企業経営に影響を及ぼすおそれがあるので要注意です。

給付金とは

給付金は、補助金や助成金と同様に、国や地方自治体が、事業主や個人に対して支給するものです。事業主も対象となりますが、主に個人向けに支給されることが多いのが、給付金の特徴と言えるでしょう。給付金は、緊急時に実施されることが多いのですが、去年から今年にかけて、新型コロナウイルス感染症に関連した、持続化給付金や10万円給付などが実施されたのは、記憶に新しいところです。給付金の使用目的には一定の制限がありますが、その内容や支給方法などは給付金ごとに違います。

概要

国や自治体が主催する支援の中で、個人を対象にしたものが多いのが、補助金や助成金にはない、給付金だけに見られる特徴です。個人向けの給付金は、雇用保険に加入していれば、申請できるものが数多くあります。以下に、雇用保険に関連した給付金を、いくつかご紹介しましょう。

・失業等給付

失業手当や技能習得手当などが、これに当たります。特に失業手当は、失業した人がハローワークに行けば申請できるので、多くの人が利用したことのある給付金です。

・育児休業給付金

育児休業中に支給される給付金です。育児休業に入る前の給与をもとに、計算した日額が支給されます。育児休業の証明が必要なので、会社に代行して申請してもらうのが通常です。今後育児休業を取得する人が増えると予想されるので、それに併せて、利用者の増加が見込まれる給付金です。

・介護休業給付金

介護休業中に支給される給付金です。介護休業に入る前の給与をもとに、計算した日額が支給されます。分轄して取得することのできる給付金なので、柔軟性がありますが、休業日の証明が必要になるため、会社で代行して申請してもらう必要があります。

・高年齢雇用継続給付金

60歳以降に給与が下がった場合に、65歳まで支給される給付金です。60歳到達時の賃金月額を、会社からハローワークに提出してもらい、減額率を見て給付額が決められます。高年齢雇用継続給付金を継続して支給してもらうには、2カ月ごとに会社からの申請が必要です。

メリット

補助金のように、新たに開設されることが少ないかわりに、廃止されることもほとんどないのが給付金の特徴です。また、補助金や助成金と違って、一定の条件をクリアして申請すれば、必ず給付されるのも、給付金のメリットと言えるでしょう。事業者の場合は、継続して事業を続けるのであれば、給付金の使用目的は特に問われず、事業計画書なども必要ないので、簡単に申請できるのも給付金のメリットになります。

注意点

給付金は申請すればほぼ100%給付されますが、補助金や助成金に比べて支給額は少なめです。そのため、補助事業を実施するには、自己負担分が大きくなるので注意しましょう。このことがわからず、給付金があるから大丈夫と思って事業を進めると、企業全体の資金繰りに影響するのでリスクが大きくなります。

まとめ

補助金や助成金、給付金は国や地方自治体などが実施するもので、原則として返済不要です。補助金は目的がはっきりしており、予算も計上されるので採択数には限りがあります。助成金は一定の条件を満たせばほぼ採択され、給付金は定められた条件に合えば採択されます。支給される金額は補助金が一番大きいのですが、事業計画書などの必要書類が多く、申請にかなりの手間がかかり、しかも審査の結果不採択となることも少なくありません。助成金や給付金は、一定の条件をクリアすれば支給されますが、支給額は補助金に比べて少ないのが通常です。補助金、助成金、給付金のうちどれを選ぶかは、自社の現在の状況を見て決めるようにしましょう。


事業再構築補助金

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