事業再構築補助金を利用する際にリスクを回避するためのつなぎ融資とは
企業の資金調達のために、事業再構築補助金を利用する方法があります。事業再構築補助金は、最大で1億円の補助が受けられるので、申請を検討している企業も多いことでしょう。しかし、事業再構築補助金の採択は容易ではなく、しかもリスクもあります。事業再構築補助金は、すぐに振り込まれるわけではないので、金融機関の融資を受けるための、許可申請をしておく必要があります。本記事では、事業再構築補助金のリスクについて解説し、リスク回避のための方法をご紹介しましょう。
目次
事業再構築補助金を利用するリスクとは
事業再構築補助金を申請し、採択されると高額な補助が受けられます。そのため、多くの企業が、事業再構築補助金を利用しようとしています。しかし、事業再構築補助金には、リスクがあるので注意が必要です。では、具体的にどんなリスクがあるのか、詳しく見てみましょう。
融資の返済計画が必要
事業再構築補助金を申請するには、融資の返済プランを事業計画に入れる必要があります。融資は、返済が必要な借り入れです。そのため、融資を受けたら、金利をつけて返済していく必要がありますが、事業再構築補助金を申請する際は、融資の返済プランを、事業計画の中に記載しなければなりません。多くの場合、補助事業を実施するための資金は、事業再構築補助金だけでは足りないので、融資が必要になるため、その返済計画も事業計画に含める必要があるのです。
補助金の金額を融資でまかなえない可能性
金融機関で初めて融資を受ける場合は、自己資金の3倍程度までしか借り入れできません。そのため、事業再構築補助金の申請が通って、補助金が支給されたとしても、それだけでは必要な資金のすべてを、準備できないおそれがあります。たとえば、事業に3,000万円必要な場合、自己資金が300万円しかないと、融資を受けられるのは、900万円程度と考えがほうがいいでしょう。それでも、事業再構築補助金が2,100万円支給されれば、必要な金額が調達されますが、2,100万円以下だと、資金が足りなくなってしまいます。
採択されなかった場合のダメージが大きい
事業再構築補助金は金額が大きいので、採択されなかった場合は、その分の金額を自己調達しなければなりません。補助金でまかなえると思っていた金額が大きいだけに、採択されないと自己負担分が大きくなるので、企業経営に影響が出る場合もあります。また、事業再構築補助金が採択されたとしても、提出した事業計画通りに補助事業が進められないと、補助金を減額されることもあるので、この場合も資金繰りの予定が狂うおそれがあります。
リスクを回避するためにはつなぎ融資を併用しよう
事業再構築補助金が採択されると、最大で1億円の補助金が支給されます。しかし、補助金は後払いなので、たとえ1億円支給されるとしても、一旦自己負担で1億円用意しなければなりません。大きな金額を投資して始めた補助事業が、すぐ軌道に乗ればいいのですが、思ったようにいかない場合もあるでしょう。
そうなると、利益が出るまでに時間がかかるので、その間に必要な経費をまかなうために、つなぎ融資を受ける必要があります。新規事業がすぐ軌道に乗ることは少ないと考えて、あらかじめつなぎ融資の準備をしておかないと、企業経営が頓挫する場合もあるので注意が必要です。
事業再構築補助金とつなぎ融資を併用する方法
事業再構築補助金が支給されるまでの間に、必要になる経費をつなぎ融資でまかなう場合は、金融機関に融資を依頼するのが一般的な方法です。つなぎ融資はあくまでも、補助金が支給されるまでの間をつなぐための資金なので、補助金が出たら返済する短期の融資です。事業再構築補助金が支給されるのが前提となるので、通常の融資よりも審査が通りやすいのが特徴です。
つなぎ融資をスムーズに受けるためには、事業再構築補助金が採択される前に、金融機関に依頼して、確約を取り付けておくことをおすすめします。もしつなぎ融資の確約が取れない場合は、たとえ事業再構築補助金が支給されても、補助事業がうまくいくとは限らないので、事業の見直しを検討する必要もあるでしょう。
どこから融資を受けるのがいい?
事業再構築補助金が支給されるまでに必要なつなぎ資金は、これまでに取引のある金融機関に、融資を依頼するのが一般的な方法です。これまでに取引がある金融機関なら、融資担当者とも顔なじみですから、話がしやすく融資も通りやすくなります。融資担当者は、こちらの経営状況を把握していますから、どの程度の信用があり、いくらまでなら融資できるか、すぐに判断できるので、スムーズに話が進められるでしょう。
取引金融機関がない場合
しかし、中には金融機関と、ほとんど取引のない事業者もいるでしょう。その場合は、早めに金融機関を見つけておく必要があります。ただし、どの金融機関でも、新規の場合は融資の審査が厳しくなることが多いので、しっかりした担保があるかどうかで、審査の結果が変わります。
通常の銀行よりも、信用金庫や信用組合のほうが、融資が通りやすい傾向があるので、いろんな金融機関に当たってみることが大切です。また、事業に使える事業者ローンを利用する方法もあります。事業者ローンは、最大で800万円から1,000万円くらいまで融資してもらえるので、つなぎ融資の資金調達法の1つとして、考えておくといいでしょう。
日本政策金融公庫を利用する
取引のある金融機関がない場合は、日本政策金融公庫に融資を依頼する方法もあります。日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関なので、中小企業や小規模事業者でも借りやすいのが特徴です。ただし、日本政策金融公庫で融資を受けるには、提出を求められる書類や添付資料が多いので、準備に時間がかかり、しかも一定の要件をクリアしないと、融資してもらえないという難点があります。
まとめ
事業再構築補助金を利用するのは、企業が資金を調達する有効な方法の1つです。事業再構築補助金は、最大で1億円の補助が受けられるので、大きな補助事業を行うのに向いています。しかし、事業再構築補助金の採択は容易ではなく、しかもリスクもあるので注意が必要です。
事業再構築補助金が採択されても、すぐには補助金が支給されないので、その間の経費をまかなうための、つなぎ融資も準備しなければなりません。つなぎ融資は、取引のある金融機関に依頼するのが通常ですが、取引金融機関がない事業者は、日本政策金融公庫の融資を検討してみましょう。
事業再構築補助金