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2022.02.13

小規模事業者とは?中小企業の定義と合わせて解説します

皆さんは、小規模事業者と中小企業とはどんなものなのか知っていますか?小規模事業者も中小企業も非常によく似ていると思われるかもしれませんが、厳密な定義は大きく違ってきます。小規模事業者と中小企業において、法人か個人事業主かどうかの違いも知る必要性があります。

それでは、小規模事業者と中小企業の定義についてご説明しましょう。

中小企業者の定義

中小企業者の定義は、以下の通りです。

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

以上のように、中小企業者の定義は業種分類、金額、従業員数によって変わります。

この中小企業の定義は中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた原則です。

したがって、法律や制度次第で中小企業として扱われる範囲が違うこともあります。

たとえば、中小企業関連立法による政令によって一部を除くゴム製品製造業は、以下の通りになると中小企業としてみなされる可能性があります。

• 資本金3億円以下、または従業員900人以下
• 旅館業:資本金5千万円以下、または従業員200人以下
• ソフトウエア業・情報処理サービス業:資本金3億円以下または従業員300人以下

また、資本金が1億円以下の中小企業は、法人税法によって中小企業軽減税率の対象になります。

小規模事業者の定義

小規模事業者の定義は、以下の通りです。

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 従業員20人以下
商業・サービス業 従業員 5人以下

以上に加え、以下の政策も重要です。

• 小規模事業者支援法
• 中小企業信用保険法
• 小規模企業共済法

以上の政令によって、娯楽業や宿泊業を営む従業員20人以下の事業者は小規模企業として扱われます。

基本的に業種と従業員の人数によって、小規模事業者かどうかが左右されます。

また、小規模事業者は小規模事業者支援法による支援が受けられる可能性もあるでしょう。

小規模事業者支援法とは、以下のような課題を抱えている事業者のために支援を行うものです。

• 人口減少
• 高齢化
• 海外との競争の激化
• 地域経済の低迷
• 売り上げや事業者数の減少
• 経営層の高齢化

小規模事業者支援法によって行われる主な支援は、以下の通りです。

1. 伴走型事業計画策定と実施支援のための体制整備
2. 商工会・商工会議所を中核とした連携の促進
3. 独立行政法人中小企業基盤整備機構の業務追加です。

1つ目の支援は、小規模事業者の課題に対して、事業者に寄り添って支援する体制や能力を整えている商工会や商工会議所の支援計画を国が認定・公表します。

2つ目の支援は、支援計画の認定を受けた商工会や商工会議所は様々な機関と連携しつつ小規模事業者を支援します。

その際に主体となって連携する機関が一般社団法人、一般財団法人、NPO法人だった場合は中小事業者とみなし、中小企業信用保険法を適用します。

3つ目の支援は、事業計画が認定された商工会や商工会議所に対し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が先進的な事例や行動な経営支援のノウハウ情報提供等を実施するものです。

法人・個人事業主(フリーランス)の違い

中小企業でも小規模事業者でも、法人と個人事業主では様々な違いがあります。

まず、起業する際に必要になる書類は、以下の通りです。

 

個人事業主 法人
事業開始に必要な手続き 開業届
青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
法人登記
法人設立届出書
法人税の青色申告承認申請書
給与支払事務所等の開設届出書
棚卸資産の評価方法の届出書
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
労働保険 保険関係成立届
労働保険 概算保険料申告書
雇用保険 適用事業所設置届
雇用保険 被保険者資格取得届
健康保険・厚生年金保険新規適用届
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
資本金 0円 法定費用+資本金
事業の廃止 届出を提出する 解散登記+公告等が必要
税金 所得税
住民税
消費税
個人事業税
法人税
法人住民税
法人事業税
消費税および地方消費税
特別法人事業税
経費 事業に必要な費用のみ形状できる 事業に必要な費用の他、給与や退職金なども経費にできる
赤字繰越 青色申告で3年 10年
社会的信頼度 法人に比べて低い 高い
会計・経理 個人の確定申告 法人決算書・申告
生命保険 所得控除 全額経費、あるいは2分の1を経費にするなど
社会保険 従業員が5人未満であれば事業者が負担することはない 事業者が全額負担する

また、個人事業主には以下のメリットがあります。

• 法人と比べると起業しやすい
• 専門的な知識などが求められないので確定申告が比較的簡単
• 保険料の負担が軽減されるケースがある

しかし、以下のようなデメリットもあります。

• 所得金額が高くなるほど納税額も高くなる
• 信頼を得るのが難しい
• 人材を登用しにくい
• 赤字繰越の年数が短い
• 経費にできる範囲が狭い

一方の法人には、以下のメリットがあります。

• 所得金額が高くなっても納税額が抑えられている
• 法人だからこその信頼を得やすい
• 人材を登用しやすい
• 赤字繰越の年数が長い
• 経費にできる範囲が広い

ですが、以下のようなデメリットもあります。

• 個人事業主と比べて必要書類が多い上に専門的な知識が必要なので起業しにくい
• 株主総会や取締役会などの運営に手間がかかる
• 必ず社会保険に加入しなければならない
• 赤字経営になったとしても、7万円の法人住民税を納税しなければならない

法人と個人事業主では様々な違いがあるため、法人か個人事業主のどちらで起業するかよく考えましょう。

中小企業・小規模企業の事業者数の動向

中小企業と小規模企業の企業数や従業員数は年々大きく変わっています。特に小規模企業よりも中小企業の方が圧倒的に多いため、従業員数も必然的に多くなります。

それでは、中小企業と小規模企業の事業者数の動向についてご説明しましょう。

企業数

小規模企業を含めた中小企業は日本の全企業421.0万社のうち、99.7%を占めているほど非常に多いのが特徴です。

421.0万社のうち、大企業は約1.2万社ですが、中小企業は約419.8万社もあります。

日本の経済はそれだけ中小企業に頼っていると言わざるを得ないと状況でしょう。

小規模企業は全企業数421.0万社のうち、約366.3万社となっています。

中小企業の中で小規模企業が大半を占めている以上、起業として中小企業と呼べるレベルの規模にまで成長することがいかに大変かどうかが垣間見えるでしょう。

従業員数

小規模企業を含めた中小企業で働いている全従業員数は約4,013万人のうち、約7割を占めているほど多いのがポイントです。

4,013万人のうち、大企業の従業員数は約31%の約1,229万人ですが、中小企業は約69%の約2,784万人となっています。

一方の小規模企業は全従業員数4,013万人のうち、約23%の約929万人です。

中小規模はもちろん、小規模企業で働く従業員も多いことから、日本におけるコスト競争力は中小企業や小規模企業によって支えられていると言えるでしょう。

しかし、今後は新型コロナウイルスの影響により、企業数も従業員数も減っていくことが予想されます。

全企業数は400万社、300万社を切り、それに応じて従業員数もどんどん減っていく可能性があるでしょう。

まとめ

中小企業と小規模事業者は似ているようで様々な違いがあります。小規模事業者には小規模事業者支援法という支援が受けられるため、条件を満たすことで小規模ながらも活動しやすくなるでしょう。

また、日本全国の企業の大半は中小企業と小規模企業で成り立っているのは意外に思う人も多いのではないでしょうか?つまり、割合だけで見るなら、日本は大企業よりも中小企業や小規模企業による経済によって成り立っていると言えるでしょう。


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