事業を持続させるための小規模事業者持続化補助金の種類に関して
近年、コロナ化の影響でさまざまな補助金の新設や増額が行われてきました。
例えば
・雇用調整補助金
・IT導入補助金
・飲食事業者感染防止対策補助金
などさまざまな補助金があります。
小規模事業者持続化補助金では、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取り組みに関して発生する経費の一部を支援する制度です。
この制度では、商工会や商工会議所のサポートを受けながら経営計画書や補助事業計画書を作成し、審査を通過できた場合に所定の補助金が交付される制度です。
今回の記事では「小規模事業者持続化補助金」の種類に関して解説していきます。
現在、小規模事業者持続化補助金を検討されている会社はぜひ参考にしてみてください。
目次
小規模事業者持続化補助金の種類
小規模事業者持続化補助金には2つの種類があります。
・小規模事業者持続化補助金「一般型」
・小規模事業者持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」
上記の2種類があります。
それぞれで公募内容や、申請要件が違ってくるため会社で判断しどちらを申請するのか注意が必要です。
下記に
・事業の概要
・補助対象者
・対象となる事業
・取り組み事例
・補助対象経費
・「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の違い
などを詳しく解説させていただきます。
持続化補助金[一般型]
まずは小規模事業者持続化補助金の一般型に関して解説していきます。
平成26年に「小規模事業者持続化補助金」の公募が初めて行われました。小規模事業者を応援する補助金として制定されたものであり、利用している会社も多いかと思います。
事業の概要
小規模事業者持続化補助金の一般型は、小規模事業者や一定要件を満たす特定非営利活動が今後、複数年に渡り何度も直面する制度変更(働き方の改革や被用者保険の適用の拡大、給料の賃上げ、インボイス制度の導入)等に対応するために制定されました。
小規模事業者が取り組む販路開などの取り組みの経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支えることを目的として、小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目指します。
小規模事業者持続化補助金では、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓を補助するものです。
例えば、新たな市場への参入に向けた販売方法の工夫や新たな顧客層の開拓に関する商品開発や改良等のこと。
地道な販路開拓やそれに伴う業務効率化の取り組みを支援するための経費の一部を補助します。
上記の事項が事業の概要になります。
国がやっている政府度なので明確的な目的があるため、ただ補助金をもらえればいいというわけではなく目的を持ち申請することが大切です。
補助対象者
小規模事業者持続化補助金において補助対象者の概要を解説していきます。
1.小規模事業者であること
業種に関しては営む事業内容の実態から判断されます。
従業員の定義とは社会通念に従い、事業所において通常の従業員と判断される従業員を指します。
しかし、以下の方々は「常時使用する従業員」に含まれません。
・会社役員(従業員との兼務役員は含まれます)
・個人事業主及び同居の親族は含まれません。
・申請時点で育児休暇中、介護休暇中、傷病休暇中の職員は含まれません。
上記の業種をさらに詳しく解説します。
「商業・サービス業」→他社から仕入れた商品を販売する事業、在庫性や代替え性のない価値を提供する事業のことを言います。
「宿泊業・娯楽業」→宿泊を提供する事業(その場所の飲食。催事等のサービスも含む)や映画や演劇その他の興行および娯楽を提供する事業、これに付加するサービスを提供する事業を言います。
「製造業」→自社で流通性のあるもの(ソフト関係のような無形のものも含む)を生産する事業、他社が生産したもの加工し施したりするなどして、さらなる価値を付与する事業を言います。
「その他」に関して「建設業や運送業」などの判断が難しい業種は従業員数を基準として判断します。
例)
飲食店→調理技術を用いて生産した料理をその場で提供するのみ→商業・サービス業
飲食店→調理技術を用いて流通性のある弁当、惣菜、お土産を作っている→製造業
本屋→出版社などから仕入れた書籍をそのまま販売する→商業・サービス業
上記のような企業が補助対象者になります。
基本的には従業員の人数で判断されることが多いため、人数が多い会社は対象者に含まれません。
従業人の人数と自身の業種をしっかり判断した上で申請を開始しましょう。
対象となる事業
小規模事業者持続化補助金に関して対象となる事業を解説していきます。
対象となる事業は下記の通りになります。
対象事業
・会社及び会社に準ずる営利法人
株式会社
合名会社
合資会社
合同会社
特例有限会社
企業組合
協業組合
・個人事業主(商工業者のみ)
・一定の要件を満たした特定日営利法人(法人税法上の収益事業をおこなっていること、認定特定非営利活動法人ではないことが条件です)
上記が対象事業者になります。
逆に、対象ではない事業者も紹介します。
非対称事業者
・医師、歯科医師、助産師
・系統出荷による収入のみである個人農業者
・協同組合等の組合
・一般社団法人、公益社団法人
・一般財団法人、公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者
・任意団体 等
上記の事業者は「小規模事業持続化補助金」に申請することはできません。
なお「反社会的勢力」に該当する方々も申請はできません。
小規模事業持続化補助金は何周類か存在しますがいずれか一つのみの申請になります。複数で申請することはできないので注意が必要です。
取組事例
小規模事業持続化補助金を利用した取組事例に関して紹介させていただきます。
ぜひ参考にしてください。
「和菓子店(例)」
・事業内容
補助金を活用し、バースデーケーキやクリスマスケーキなどにお客様の選んだ写真や絵などを専用のプリンターを使って印刷できるフードプリンターを購入。
他店との差別化や新規顧客の獲得を目指して業務の向上を知るために購入しました。
・事業効果
子供の写真や好きな絵がケーキなどにプリントできることをPRしたところクリスマスシーズンや誕生日ケーキの需要が増えて注文数の増加や売上の向上が獲得できました。
・事業者の声
観光客だけではなく、地元客にも新しい商品を購入し喜んでいただけた。さらなる拡張を目指し今後も新商品の開発に挑戦した。
「鮮魚販売業(例)」
・事業内容
補助金を活用し、ホームページのリニューアルを実現する。商品の食べ方や調理方法などの説明を掲載するなどして、販路拡大を図る。
さらに独自のクレジット決済システムを構築し、業務の効率化を図るとともにネット販売の利用を促進した。
・事業効果
ホームページリニューアル後の2週間セッション数は平均時間5分と実績が向上しました。
ネット販売では1日の購入件数や販売種類の増加、新規顧客の購入割合も増加しました。
・事業者の声
ホームページをリニューアルしたことにより、EU HACCP(商品の品質を確保するための製造法定管理方式)をクリアするなどの品質管理にこだわった商品をアピールすることにより、オホーツク枝幸町の美味しい海産物を全国に届けることができた。
その他にも、
・新たに労務管理システムのソフトウェアを導入し、人事、給与管理業務を効率化する
・新たにPOSレジソフトウェアを導入し、売上管理業務を効率化する
・新たに経理、会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
上記のようにさまざまな活用方法があります。
活用に関してはいろいろな方法があるので自社に合った方法で活用していきましょう。
補助対象経費
小規模事業者持続化補助金の対象となる「補助対象経費」に関して説明させていただきます。
①補助対象となる経費は次の1〜3の条件を満たすものになります
1、使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
2、交付決定日以降に発生し対象期間中に支払いが完了した経費
3、証拠資料等によって支払い金額が確認できる経費
そのほかの条件として下記の事項があります。
補助対象となる経費に関して
・補助対象となる経費に関しては、補助事業期間中に「販路開拓等又は業務効率化の取り組み」を実施したことに要する費用支出に限られます。
補助事業期間中に発注や引き渡し、支払いなどがあっても実際の事業取り組みが補助や衣装期間内であれば当該経費は補助対象にすることができません。
大事なのは、補助業実施期間中に実際に使用し、補助事業計画に記載した取り組みをしたという実績報告が必要になります。
・支払い方法に関しては銀行振り込みが原則になります。補助金執行の適正性確保のため、旅費や現金決済のみの取引を除き、1取引10万円超の支払いに関しての現金払いは認められません(小切手や手形による支払いは不可です)。
クレジットカード決済に関しては、支払いが補助対象期間内に引き落としが確認できる場合のみ認められます。
・補助対象となる経費の種類に関して
①機械装置等費
②広報費
③展示会等出展費
④旅費
⑤開発費
⑥資料購入費
⑦雑役務費
⑧借費
⑨専門家謝費
⑩専門家旅費
⑪設備処分費
⑫委託費
⑬外注費
上記の項目のような費用に該当します。
なお、これ以外の経費は小規模事業者持続化補助金の補助対象外となるので注意が必要です。
持続化補助金[低感染リスク型ビジネス枠]
上記の記載事項では小規模事業者持続化補助金の一般型に関して解説させていただきました。続いては、小規模事業者持続化補助金の「低感染リスク型ビジネス枠」に関して解説していきます。
事業の概要
小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠では、新型コロナウイルス感染症感染防止対策と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行い、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスサービスや生産プロセスの導入などを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
近年、コロナ禍で売上減少や顧客の獲得などが難しい会社へ業務効率化や生産性向上を目指すための費用に関して、設備投資から感染防止対策費まで幅広くの補助を対象とする補助金になります。
補助対象者
小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠では日本国内に所在する小規模事業者であることが前提条件になります。
小規模事業者の定義とは、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づき、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるかを判断しています。
補助対象者の範囲
・対象事業になりうる者
会社及び会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合、協業組合)
個人事業主(商工業者であること)
一定の要件を満たした特定非営利活動法人であること
上記の事項が補助対象者の範囲になります。
・補助対象にならないなり得ない者
医師。歯科医師、助産師
系統出荷による収入のみである個人事業主
協同組合等の組合(企業組合、協業組合は除く)
一般社団法人、公益社団法人
一般財団法人、公益財団法人
医療法人、宗教法人、学校法人
農事組合法人、社会福祉法人
申請時点で開業していない創業予定者
任意団体等
自社の該当する業種が小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠の対象事業者に該当しているかしっかり確認しましょう。
対象となる事業
小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠の補助対象となる事業は、ポストコロナを踏まえた新たなサービスやビジネス、生産プロセスの導入等に取り組む事業。
さらに、感染拡大防止と事業の継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな事業を指します。
例えば
・飲食店などで同じスペースにいるお客様や従業員同士の人数や直接会う機会を少しでも減らす取り組み→大部屋から個室に変える、ネット予約でのお客様の出入りを調整、新しい機械を導入することによる作業人数の削減(業務の効率化)。
・飲食店やアパレル関連会社の取り組みとしてお客様の従業員の直接的な接触の機会を減らす→注文をタッチパネルにすることにより店員を呼ぶ機会を減らす、セルフレジの導入やキャッシュレスの導入、セルフチェックインシステムの導入や券売機の導入。
・企業の従業員の集合する回数や出社の回数の減少→テレワークシステムの導入や購入、Web会議システムの導入、日々の業務のオンライン化。
・ショッピングに関してお店以外での対応を増やす→店舗販売から移動転売やデリバリーやテイクアウトの業務改革、インターネットでの商品販売やサービス提供。
上記のような事業に対して小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠では補助が可能になります。
取り組み事例
小模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠で実際に利用した取り組み事例などを紹介させていただきます。
さまざまな業種が補助金を申請し活用しているのでぜひ参考にしてください。
洋菓子店の事例
・コロナ禍の影響で外出自粛や来店者減少の影響がある中で補助金の利用を決断。
補助金を活用した取り組みとして、自宅でお菓子作りができる体験キットの作成し作り方に関しては動画を配信。さらに、体験キットや商品をオンラインで販売するためにHPも作成した。
効果として、自宅で楽しく本格的にお菓子が作れる点などが評価され新規顧客の獲得や売り上げアップにつながった。
・飲食店の事例
コロナ禍の中、外出自粛で観光客も地元客も減少した。お客様や従業員の安全を守りながら売り上げを取り戻すために感染リスクの減少が課題です。
補助金を活用した取り組みとして、接触機会を減らすために下記の3つを実施した。
1、店内の個室化
2、タッチパネル式注文
3、換気設備の強化
これらを実施し、安心して食事を楽しむことができる施設作りが評価され来客増加のきっかけになりました。
・建設業の事例
コロナ禍で対人接触が厳しいご時世になり、工事現場にお客様や作業員が集まることから感染リスクが高いため補助金を決断。
補助金を活用した取り組みとして、ドローンによる「遠隔診断」で管理者とお客様は事務所や自宅で現場状況をオンラインで把握することができるようになった。
作業員同士の接触機会が減少されることにより感染リスクの減少や、優れたコロナ対策が評価されお客様や工事業者からの問い合わせが増加。さらに少人数での工事も可能になり業務効率化も実現できた。
・旅館やホテル業の事例
コロナ禍の影響により、宿泊の相次ぐキャンセルや宴会や法事のキャンセルによる売り上げの減少。そして利用客とスタッフの感染防止対策が課題です。
補助金を活用した取り組みとして、フロント業務の自動化による密の解消、宴会場での席間隔を開けパーテーションを設置、換気機能付きエアコンを導入することで感染防止対策の強化を実現しました。
補助金を活用した結果として、安心して宿泊できる宿としてリピーターが増加、フロント業務の自動化によりスタッフの業務改善にもつながった。
・サービス業(学習塾)の事例
コロナ禍の影響により、対面での指導に関して躊躇する方が増加し入塾を見合わせる生徒が続出。生徒の安全を守りながら安心して勉強できる環境の整備が必要だと確信しました。
補助金を活用した取り組みとして、教室の徹底除菌と透明なパーテーションの設置で塾内の感染対策の強化。そして、オンライン授業の新規開設で遠方者から入塾希望の方へのアプローチによる販路拡大を実現。
補助金を活用した結果として、オンライン授業と対面授業での両輪で生徒に合わせた教育体制の充実が実現でき、入塾増加のきっかけになりました。
補助対象経費
小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠の補助対象経費を記載いたします。
下記事項に該当しない場合は注意が必要です。
①機械装置等費
②広報費
③展示会等出展費(オンラインによる展示会に限る)
④開発費
⑤資料購入費
⑥雑役務費
⑦借料
⑧専門家謝金
⑨設備処分費
⑩委託費
⑪外注費
⑫感染防止対策費
上記の費用が該当します。
例えば、人が密にならないように飲食店等で個室化を実現するために外注へ工事(外注費)を依頼することや、スペースを広げるために解体費(設備処分費)などが該当します。
さらに商品店などでレジの自動化を実現するための機械設備費なども該当します。
補助金を活用したい会社はぜひ参考にしてください。
「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の違い
小規模事業者持続化補助金を利用される方で「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」のどちらを選べばいいか、どう違うのか気になる方も多いかと思います。
「一般型」「低感染リスク型ビジネス枠」の違いなどを下記に記載致します。
参考にしてみてください。
まずは「一般型」に関して開設していきます。
「一般型」は、コロナ対策とは関係なく経営計画に基づいて小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みに関する経費を補助するものになります。日本国内だけではなく海外の拠点にも活用が可能です。
例えば、看板やチラシの作成や、HPの制作、設備導入にかかる費用が対象となります。
補助金を活用後1年以内に成果が現れるように取り組みや事業活動を対象としています。
補助金額としては上限が50万円であり、補助率は2/3です。
続いて「低感染リスク型ビジネス枠」は新型コロナ感染症の影響を乗り越えるための政策であり、感染リスクの低いビジネスサービスや生産性プロセスの導入に関わる経費の一部を補助します。
基本的な補助費用としては上限が100万円であり、補助率は3/4です。
さらに「低感染リスク型ビジネス枠」の特徴として、「一般型」にはない「感染防止対策費」として補助対象の1/4(最大25万円)を上限に費用として計上できます。
「感染防止対策費」としては
・消毒、マスク、清掃
・換気設備
・飛沫防止対策
・その他(体温計、サーモカメラ、キーレスシステム等)
上記のような商品に「低感染リスク型ビジネス枠」は利用できます。
「一般型」では販路開拓や生産性の向上をメインに活用できる補助金であり「低感染リスク型ビジネス枠」ではコロナ対策の対応として活用できる補助金になります。
まとめ
小規模事業者持続化補助金に関して記載させていただきました。
「一般型」や「低感染リスク型ビジネス枠」と2種類ある補助金ですが、自社の業務やこれからの課題に該当する方を選ぶのが大事になります。
感染拡大はこれからも広がっていく中でコロナ対策をしていない業者の方が少なくなってきます。
今回の小規模事業者持続化補助金をうまく活用し販路開拓やコロナ対策を行うことがこれからの時代に必要となってくるかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
小規模事業者持続化補助金(一般型)