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2022.05.01

IT導入補助金の採択率は?2022年度の申請スケジュールも解説

事業者の中には、IT導入補助金を導入して、業務の効率化を進めたいと考えている方も多いでしょう。しかし、IT導入補助金について詳しく知っている人は少ないため、何をどうしていいかわからないのが、現状かもしれません。IT導入補助金導入で気になるのが、公募の採択率です。採択率が低ければ、手間をかけて申請しても、無駄になる可能性が高くなります。

そこで本記事では、2021年度と2020年度のIT導入補助金の採択率を比較して、採択率が下がる理由や、採択されるためのポイントについて解説します。併せて、IT導入補助金の今後の申請スケジュールも、まとめてみました。IT導入補助金の申請を検討している事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、経済産業省が実施する補助金の1つです。中小企業や小規模事業者が、ITツールを導入したり、パソコンやタブレットを購入する際に、利用できる補助金です。採択率は40%~60%と高く、IT導入支援事業者のサポートを受けながら申請します。IT導入補助金には、通常枠(A・B類型)と低感染リスク型ビジネス枠(特別枠C・D類型)の2種類があり、それぞれ申請要件や補助額、補助率が違います。

そのため、自社に合った類型を選んで、申請することが大切です。通常枠は、ITツールを導入することによって業務の効率化をはかり、業績をアップするために活用されます。これに対して低感染リスク型ビジネス枠は、コロナ禍に対応したビジネスモデルの採用や、生産性向上、非対面化の推進のために活用される補助金です。

そのため、低感染リスク型ビジネス枠は、通常枠より補助率が高く設定されています。ちなみに、補助対象となるのはITツールだけでなく、効率よく業務を進める上で必要なソフトウェアや、クラウドサービスなどの費用のほか、これらを導入する際に必要なサポート費用、設定費用なども対象となります。

申請要件

通常型と低感染リスク型ビジネス枠の申請要件は、以下のようになっています。

「通常枠A類型」

・国内で事業を営む法人または個人であること
・交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
・gBizIDプライムを取得していること
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ 星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
・補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上、及びこれらと同等以上の数値目標を作成すること

通常枠A類型を申請するためには、上記のすべてをクリアする必要があります。B、C、D類型を申請する場合は、以下の2つの要件をクリアしなければなりません。

・「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」して、しかも「地域別最低賃金+30円以上とする賃金水準」の両方の要件を満たす3年の事業計画書を作成すること
・申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明すること

IT導入補助金は、採択率は高いのですが、上記のような厳しい要件をクリアしなければならないので、申請して採択されるのは容易ではありません。申請する前の準備だけでも、かなりの労力が必要となるので、IT導入補助金の申請を検討している方は、早めに準備に取り掛かりましょう。IT導入補助金の申請は、準備のための余力が十分にないと、難しいことは覚えておきたいものです。

2021年度IT導入補助金の採択率

2021年度IT導入補助金の採択率は、以下のようになります。

1次締切分

A類型:約55.5%
B類型:約51.2%
C類型:約58.7%
D類型:約55.7%

2次締切分

A類型:約55.2%
B類型:約33.8%
C類型:約60.7%
D類型:約61.1%

3次締切分

A類型:約58.0%
B類型:約43.4%
C類型:約61.1%
D類型:約61.4%

 

A類型、C類型、D類型は3次募集で高い採択率が出ていますが、B類型だけは1次募集で最高の数字が出たものの、その後は採択率が下がっています。通常、採択率は募集回が増すごとに、下がる傾向があると言われていますが、必ずしもそうではないことがわかります。ただし、4次以降の募集でも、この採択率を維持できるかどうかわからないので、IT導入補助金の申請を検討している方は、早めに申請するようにしましょう。

2020年度IT導入補助金の採択率

2020年度IT導入補助金の採択率は、公開されていないので、正確な数字はわかりません。しかし、おおよその倍率はわかっています。2020年度は、1次募集から10次募集までありましたが、その平均は42%で、1次から5次までは50%をキープしているものの、その後は少しずつ数字が下がっています。

2020年度のIT導入補助金は、途中で新型コロナ感染対策のための、特別枠が設けられたため、採択率は高くなると考えられていましたが、現実にはそれほど高い採択率にはなりませんでした。その理由は、公表されていないのではっきりしませんが、補助金の予算には限りがあるので、予算限度額を超えそうになると、採択率が下がると見るべきなのかもしれません。予想したほど採択率が伸びなかった背景には、このような裏事情があることも考えられます。

IT導入補助金の採択率が下がる理由

IT導入補助金は、申請しても採択されない場合もあります。数ある補助金の中でも、IT導入補助金は比較的採択率が高いと言われていますが、それでも半数近くが不採択となっています。では、なぜ不採択となるのでしょうか。その原因を探ってみました。

・書類の不備

IT導入補助金の申請には、数多くの種類が必要です。その中の1つでも足りないと、採択されることはありません。また、記載内容に不備があったり不明な点がある場合も、採択されるのは難しくなります。もちろん、記載内容に誤字脱字がある場合も、採択に影響すると考えたほうがいいでしょう。そのため、必要な書類はしっかりチェックしてから、提出するようにしたいものです。

・公募要項に合わない

IT導入補助金を支給されて実施する保持事業が、そもそも公募要項に合わないと、採択されることはありません。また、導入するITツールの選択が適切でない場合も、採択は難しくなります。

・公募のタイミング

IT導入補助金の採択率は、公募のタイミングによっても左右されます。IT導入補助金の公募は、年に複数回実施されます。2020年度は10回公募がありましたが、1次募集は比較的採択率が高いものの、2次、3次と進むうちに、採択率が下がっていく傾向があります。なぜ公募回が増えるごとに採択率が下がるのか、明確な理由はわかりませんが、もしかすると予算の関係で採択率が下がるのかもしれません。

つまり、あとの公募になるほど予算の残りが少なくなるので、どうしても、採択数を減らさざるを得ないのではないかということです。もちろん、これは憶測の域を出ませんが、理由の1つとして考えられるので、採択率を上げるためにも、なるべく年度の初めに申請したいものです。

IT導入補助金に採択されるためのポイント

では次に、IT導入補助金に採択されるためのポイントを、ご紹介しましょう。以下の点に注意するだけでも、採択率が上がるのでぜひ参考にしてください。

・書類の不備をなくす

提出書類に不備があると、IT導入補助金を申請しても採択率が低くなります。申請する前に必要書類が揃っているか、記載内容に間違いがないか、何度も見直してチェックすることが大切です。

・適切な対象枠に申請する

自社が申請したい枠は、IT導入補助金のどれなのかを、しっかり把握することが大切です。IT導入補助金にはいくつかの枠があるので、自社で使いたいITツールやソフトウェア、ハードウェアなどが、どの枠に該当するのか確かめておく必要があります。枠によって使えるITツール等が変わるので、枠を間違えて申請しても、採択されないので注意しましょう。

・早めに申請する

上記でも触れましたが、1次公募と10次公募では、1次公募のほうが採択率が高く、あとの公募になるほど採択率が下がる傾向があるので、採択率を上げるためには、なるべく年度初めの公募に申請することをおすすめします。

・加点項目に注意

IT導入補助金の枠には、それぞれ加点項目があります。加点項目を1つでも多く取得しておくほうが、採択率が高くなるので、なるべく多くの加点項目を取るようにしましょう。加点項目には、以下のようなものがあります。

・地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画
・地域未来牽引企業
・クラウドを利用したITツール導入の検討
・テレワーク対応ITツール導入の検討
・インボイス対応ITツール導入の検討
・事業計画の策定と従業員への表明

このほかに「賃上目標」がありますが、賃上目標は加点項目の場合と必須項目の場合があります。通常枠のA類型、特別枠のC類型-1とD類型は加点項目となりますが、通常枠のB類型と特別枠のC類型-2では必須項目となります。加点項目であれば、いわば「努力目標」といった感じですが、必須項目の場合は、必ずクリアしなければ採択されないので注意しましょう。

今後の申請スケジュール

IT導入補助金の今後の申請スケジュールは、以下の通りです。

交付申請期間

2022年3月31日(木曜日)公募開始~終了時期は後日案内予定

「通常枠」

1次締切分
締切日:5月16日(月曜日)17時00分(予定)
交付決定日:6月16日(木曜日)17時00分(予定)
事業実施期間:交付決定日以降~終了時期は後日案内予定
事業実績報告期間:後日案内予定

2次締切分
締切日:6月13日(月曜日)17時00分(予定)
交付決定日:後日案内予定

「デジタル化基盤導入類型」

1次締切分
締切日:4月20日(水曜日)17時00分(予定)
交付決定日:5月27日(金曜日)17時00分(予定)
事業実施期間:交付決定日以降~終了時期は後日案内予定
事業実績報告期間:後日案内予定

2次締切分
締切日:5月16日(月曜日)17時00分(予定)
交付決定日:6月16日(木曜日)17時00分(予定)

3次締切分
締切日:5月30日(月曜日)17時00分(予定)
交付決定日:6月30日(木曜日)17時00分(予定)

4次締切分
締切日:6月13日(月曜日)17時00分(予定)
交付決定日:後日案内予定

ご覧いただけばわかる通り、まだ未定の部分が多いため、今後予定が決定に変わるのを確認の上、早めに申請しましょう。現在、4次までしか公表されていませんが、2020年度は10次公募まであったので、2022年度も同じくらいの公募回数があるものと思われます。すでにご説明しました通り、なるべく早めに申請するのがおすすめですが、その前に自社の体制を整えることも重要なので、準備ができしだい、申請することをおすすめします。

まとめ

IT導入補助金の2021年度の採択率について解説し、2020年度の情報もわかる範囲でご紹介しました。IT導入補助金は、なるべく年度の初めに申請するのがおすすめです。公募回があとになるほど採択率が下がっているので、初めに申請するほうが有利です。

現在のところ、2022年度の公募については未定の部分が多く、今後変更もあり得るので、申請を検討している方は、最新の情報に注目しましょう。IT導入補助金に採択されるためには、書類の不備や記載内容に誤りがないように注意し、適切な対象枠を選んで、なるべく年度の初めに申請することが大切です。


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