テレワーク促進助成金とは?申請方法や助成金額、対象事業者について解説
近年、テレワークを導入する企業が増えていますが、導入するにはそれなりに費用がかかります。特に、中小企業や小規模事業者にとっては、大きな出費となるので、テレワーク促進助成金の利用をおすすめします。本記事では、テレワーク促進助成金の内容や助成対象事業者、助成金額や申請方法などについて解説します。
目次
テレワーク促進助成金とは?
テレワーク促進助成金とは、新型コロナウイルス感染拡大防止と、経済活動の両立に向けて、テレワークの定着を支援する助成金です。この助成金は、テレワーク導入に必要な、ハードとソフトの両方が助成対象となっています。テレワークの導入を検討している企業は、この助成金を活用すると費用の負担を減らすことができます。新型コロナウイルスの感染が始まってから、複数のテレワークに関する補助金や助成金が誕生しています。
厚生労働省の人材確保等支援助成金(テレワークコース)のほか、各自治体でもテレワーク導入支援を行っているので、これらの助成金を利用して、テレワークの導入を検討した企業も多いことでしょう。東京都では、「テレワーク定着促進助成金」「はじめてテレワーク」など、テレワークに関する支援を行ってきましたが、この2つはすでに受付が終了しています。これらの代わり誕生したのが、「公益財団法人東京しごと財団」が実施している、「テレワーク促進助成金」です。
公益財団法人東京しごと財団では、いくつかの助成金を実施していますが、特にテレワーク促進助成金に力を入れており、都内の中小企業のテレワークの促進を、バックアップしています。テレワークは、ネット回線を利用して、在宅で会社の業務を行うもので、情報通信機器等の導入が必要なため、テレワーク促進助成金は、その費用の一部を負担するものです。
助成金の内容
テレワーク促進助成金では、テレワークに必要なパソコンの購入費や、リース、レンタル料を負担してもらえます。
・消耗品費
税込単価1,000円以上、10万円未満であれば、消耗品も助成金の対象となります。消耗品という名目ですが、プリンターのインクのような消耗品のほか、パソコン、タブレット、スマートフォン、周辺機器・アクセサリなども、10万円以内であれば購入可能です。
・ソフトウェア費
会計ソフトやCADソフトなど、税込単価10万円以上の業務用ソフトウェアが、助成金の対象となります。
・委託費
テレワークのためのサーバなどの、システム機器の設置や、ソフトウェアの設定などにかかる費用も助成金の対象です。また、サーバなどの保守委託費や、運用サポート費、社員の研修費用なども対象となります。
・賃借料
テレワークに必要な、サーバなどの機器を、リースやレンタルで使用した場合の費用も補助してもらえます。
・使用料
ソフトウェアを利用するための、ライセンス使用料も助成金の対象です。
助成対象事業者
テレワーク促進助成金の助成対象となる事業者は、都内の中小、中堅企業等で、以下のように定義されています。
・常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社又は事業所を置いている
・都税の未納がない
・過去5年間に重大な法令違反等がない
・都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加している
・都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録している
テレワーク推進助成金を受けるには、これらのすべてに該当していなければなりません。ちなみに、「常時雇用する労働者」とは、助成金を申請する企業が、直接雇用している労働者を指します。つまり、派遣社員は、常時雇用する労働者には当たらないことになります。
助成金額・助成率
テレワーク促進助成金の助成金額と助成率は、以下の2つのタイプに分けられます。
・常時雇用する労働者数が30人以上999人以下の場合
助成金上限:250万円
助成率:2分の1
・常時雇用する労働者数が2人以上30人未満の場合
助成金上限:150万円
助成率:3分の2
ちなみに、すでに終了したテレワーク定着促進助成金は、上限額250万円、助成率3分の2で、同様に終了している事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は、上限額250万円、助成率は10分の10でした。
これらと比べると、テレワーク促進助成金は、それほど手厚い支援とは言えないかもしれません。しかし、なかなか終息しない新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これまでテレワークを導入していなかった企業に、もう一度導入を検討しようという動きがあります。今回のテレワーク促進助成金は、こうした企業を支援するための、新たな試みと見ることができるでしょう。
助成対象経費と対象外経費
テレワーク促進事業の助成対象経費には、以下の2つがあります。
(1)テレワークのための情報通信機器等の導入費用
システム機器等の設置・設定費用、システム機器等の保守委託等の業務委託料、機器リース・レンタル料、テレワーク業務関連ソフト利用料
(2)システム導入時運用サポート費用
テレワーク用のパソコン、スマートフォン、テレビ会議用カメラ・マイク、ヘッドセット、パソコンに付随するアクセサリー
ちなみに、スマートフォンの場合は、本体購入費は助成対象ですが、通話料は対象とはならないので注意しましょう。
申請方法
テレワーク促進助成金に申請するには、まず支給申請書類を提出して、審査・支給決定通知を待ちます。支給申請には、以下の書類が必要です。
・事業計画書兼支給申請書 (様式第1号) 、事業所一覧 (様式第1号別紙)
・誓約書(様式第2号)
・雇用保険被保険者資格取得等 確認通知書(事業主通知用)※労働者2名分
・商業、法人登記簿謄本 (履歴事項全部証明書)
・法人都民税及び法人事業税の納税証明書
支給決定通知が届いたら、助成事業をスタートさせましょう。助成事業は、助成金の支給決定日から、3カ月以内に行わなければなりません。つまり、3カ月以内にテレワーク環境を整え、必要な機器を発注し、契約、購入、納品、設定まで、完了させる必要があります。その上で、従業員にテレワーク勤務を実施してもらいます。
なお、テレワーク促進助成金では、実施期間中にテレワーク実施対象者全員に、テレワーク勤務を6回以上実施させることが必要です。もしテレワーク勤務実績が、6回に満たない従業員がいた場合は、その分の経費が減額対象となるので注意しましょう。
助成事業実施後の手順
助成事業の実施が完了したら、支給決定日から4カ月以内に、実施報告書を提出しなければなりません。報告書を提出後に審査がありますが、特に問題なければ助成金の確定通知が送られます。通知が届いたら、助成金請求書兼口座振替依頼書を提出すれば、指定口座に助成金が振り込まれます。
申請受付期間
前回のテレワーク促進助成金の申請期間は、令和3年5月10日から令和4年2月28日まででした。他の助成金と違って、1回の申請期間が長いのがテレワーク促進助成金の特徴です。次回の申請期間はまだ未定ですが、申請を検討している方は、早めに準備をしておくと良いでしょう。その際、申請時の注意事項があるので、次項目で解説していきます。
助成金申請における注意事項について
テレワーク促進助成金は、支給決定通知が届く前に必要な機器を注文したり、購入すると、助成金が交付されないので注意しましょう。また、テレワーク促進助成金は、すでに終了したテレワーク定着促進助成金や、事業継続緊急対策(テレワーク)助成金のように、突然終了する可能性があります。
テレワーク促進助成金を申請して、実際に助成金が振り込まれるまでに4カ月以上かかるので、助成金を受けてテレワークを実施する場合は、余裕をもって進める必要があります。中には、思い立ったらすぐに、テレワークが実施可能な企業もあるでしょう。しかし、テレワーク促進助成金を申請しても、助成金が振り込まれるまでに、時間がかかるので注意が必要です。
まとめ
テレワーク促進助成金は、テレワークを導入する中小企業や、中堅企業を対象にした助成金です。テレワークを実施するための費用は、中小企業や中堅企業にとっては大きな出費となりますが、助成金を活用すれば負担を減らすことができます。テレワーク促進助成金では、テレワークに必要なパソコンの購入費やリース、レンタル料を負担してもらえるのでぜひ利用しましょう。
テレワーク促進助成金には、細かい規定が設けてあり、そのすべてに該当する企業しか申請できません。また、テレワーク促進助成金を申請するには、支給申請書類を提出する必要があります。書類に不備があると助成金を支給してもらえないので、漏れのないように準備することが大切です。
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