個人事業主が利用できる補助金・助成金一覧
新型コロナウイルスの影響により、業績が悪化した事業者を救済するために、多くの補助金や助成金が実施されています。補助金や助成金は個人事業主も利用できるので、業績アップのためにぜひ利用しましょう。補助金と助成金は似ていますが、目的や条件などが違います。
また、申請の仕方やタイミングにコツがあるので、それぞれの特徴と申請方法を調べて、申請することをおすすめします。この記事では、個人事業主が利用できる、補助金や助成金について解説しているので、興味のある方は参考にしてください。
目次
補助金・助成金とは
補助金や助成金は、国や地方自治体などが、税金を使って実施している中小事業者に対する支援制度です。助成金には大企業でも申請できるものがありますが、補助金、助成金の多くは、中小企業や小規模事業者を対象にしています。規模の小さい事業者は、銀行などの金融機関から融資を受けるのが難しいので、国や地方自治体などの公的機関が中心となって、支援の手を差し伸べています。
つまり、中小事業者を支援することにより、日本経済全体を底上げすることを目的として、国が主導して実施しているわけです。銀行から借り入れすると、利子をつけて返済しなければなりません。まだ創業間もない事業者にとって、利子をつけて借り入れを返済するのは、大きな負担となります。しかし、補助金や助成金は原則として返済不要なので、資金面の負担が大幅に軽減されます。
補助金はあらかじめ予算が決められているため、給付できる件数に限りがあります。そのため、申請しても、必ず支給されるという保証はありません。また、申請件数が多ければ、採択される可能性も低くなります。これに対して、助成金は一定の要件を満たせば支給されるので、採択率は高い傾向にあります。公募期間も、補助金は比較的短いのに対して、助成金は長く設定されている場合が多いようです。
補助金や助成金は、経済産業省、厚生労働省、地方自治体、民間団体・企業などによって実施されています。地方自治体が主催する補助金や助成金は、地域性を色濃く反映したものが多く見られます。その地域の活性化を目的としているので、地域性が出るのは当然でしょう。新たな補助金や助成金が創設される一方、廃止されるものも多いのが、地方自治体主催の補助金、助成金の特徴です。
個人事業主が使える補助金一覧
個人事業主が利用できる補助金をまとめてみました。それぞれ特徴があるので、自社に合うものを選んで、申請するかどうか検討してみてください。
月次支援金
(申請期間が終了しています)
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、個人事業主や中小企業、小規模事業者に向けた補助金制度です。コロナ禍によって、業績が悪化した企業を救済するための補助金で、業種や業態を転換するほどの、大掛かりな事業再構築を計画している企業に対して、補助金を支給します。
内容が細分化されているので、自社の状況に合う類型を選んで申請しないと、審査が通らないので注意しなければなりません。補助金の対象者は中小企業、中堅企業、小規模事業者、個人事業主、企業組合等で、大企業は対象外のため、大企業であるかどうかの線引きが厳しく定めてあります。
主な申請要件は以下の通りです。
・コロナ禍の影響で売上が下がっていること
・事業再構築指針に沿った、3~5年の事業計画書を、認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること
補助金額と補助率は、以下のようになっています。
中小企業、中堅企業ともに、100万円以上8,000万円以下
中小企業の補助率:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業の補助率1/2(4,000万円超は1/3)
補助金の対象となる経費は、以下の通りです。
対象経費 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
第6回公募から、回復・再生応援枠(コロナ禍により厳しい状況が続く事業者への支援制度)と、グリーン成長枠(グリーン分野での事業再構築を通じて、高い成長を目指す事業者への支援制度)が新設されました。また、ウクライナ情勢や、原油価格・物価高騰等の影響を受けている事業者に対する、特別枠の創設も発表されていますが、現在のところ開始時期は未定です。
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症特例措置)
雇用調整助成金は、雇用保険適用事業所が、労働者に対して休業手当の取り決めを行っている場合に、国がその支払いを助成するものです。個人事業主、中小企業、小規模事業者、大企業までを対象とする助成金で、雇用保険に加盟していて、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で、5%以上減少している場合に適用されます。
ちなみに、助成対象者は雇用保険被保険者、被保険者でないパート・アルバイトとなっています。助成率は中小企業の場合5分の4、大企業の場合は3分の2です。なお、助成上限額は、判定基礎期間のスタート日によって、13,500円、11,000円、9,000円の3つに分かれています。また、雇用調整助成金には以下の特例があります。
地域特例
「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の対象地域で、知事による基本的対処方針に沿った要請に基づいて、営業時間の短縮等に協力する企業
業況特例
売上が、直近3か月間の月平均値と、前年同期または前々年同期の月平均値を比べて、30%以上減少した全国の企業
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)
新型コロナウイルスの影響から、企業の業績を立ち直らせるために、コロナ後を見据えた新たな事業展開や、生産体制の改善に取り組む事業者を対象にした補助金です。小規模事業者持続化補助金の通常枠では、50万円が上限ですが、低感染リスク型ビジネス枠では100万円まで引き上げ、補助率も3分の2から4分の3まで引き上げています。
また、客席にアクリル板を設置するなど、業種別ガイドライン等に沿った、感染防止対策を実施する事業者に対して、補助対象経費の4分の1を上限として、感染防止対策にかかる費用を補助します。たとえば、補助金額が40万円であれば、そのうち10万円まで、感染防止対策費用として計上できるということです。
低感染リスク型ビジネス枠は、人と人との接触の機会を減らすことによって、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えようというものなので、アクリル板などの設置費用も認められます。ただし、感染防止対策費のみを、補助対象経費として計上して、申請することはできません。
補助対象は、対象経費、機械装置等費、広報費、展示会等出展費(オンラインによる展示会等に限る)、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、設備処分費、委託費、外注費、感染防止対策費となっています。
ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
ものづくり補助金は、個人事業主や中小企業、小規模事業者が新たな商品開発や試作品開発をする際に、必要となる設備投資費を支援するために設置されました。また、長引くコロナ禍の影響により、業績が大幅に落ち込んだ企業が、大きな事業転換に取り組む際にも、通常枠とは別に補助率を引き上げる、「新特別枠」を設置しています。
ものづくり補助金の補助対象者は、中小企業などのほか、特定非営利活動法人も含まれます。補助額の上限は1,000万円、補助率は3分の2となっています。ただし、補助対象となるのは、設備投資単価50万円以上の設備投資をした場合に限られるので、注意しなければなりません。
補助対象経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝費・販売促進費となっています。
IT導入補助金
IT導入補助金は、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した事業者が、ITツールを導入する際に支給される補助金です。IT導入補助金の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)では、補助率が通常枠の2分の1から3分の2に引き上げられています。ITツールの導入に限定された補助金ですが、勤怠管理や在庫管理、売上管理などの業務用ソフトも対象になるので、広範囲に利用できる補助金です。
新たにテレワーク対応類型が設けられたので、テレワーク導入に関するITツールも、補助金の対象になります。IT導入補助金の上限は450万円ですが、テレワーク対応類型は、補助上限150万円となっています。IT導入補助金を申請する際は、よろず支援拠点や商工会、商工会議所などに相談しながら、導入したいITツールを決めなければなりません。どんなITツールでも申請できるわけではないので、ITツール選びには十分な注意が必要です。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で、売上が激減した事業者を救済するために、多くの補助金や助成金が創設されました。補助金と助成金は似ていますが、目的や条件などが違います。ただし、どちらも国や地方自治体などが、税金を財源として実施している点は同じです。補助金はあらかじめ予算が決まっているので、申請数が多いと採択率が低くなりますが、助成金は一定の要件を満たせば誰でも支給してもらえます。
補助金も助成金も、原則として返済義務がないので、融資のように利子つきで返済する必要がないため、創業間もない企業でも、必要な資金を調達しやすいのが大きな特徴です。ただし、原則として補助金や助成金は後払いなので、必要な経費は一旦自己負担で用意する必要があります。
事業再構築補助金