事業再構築補助金の公募はいつからいつまで?を解説
事業再構築補助金は補助金の金額が大きいため、新型コロナ感染症拡大で、業績が落ち込んだ事業者にとって大きな救いとなる補助金です。この補助金は2021年から公募が始まりましたが、年間にどのくらいの頻度で公募があり、今後いつまで続くのでしょうか。
今後、事業再構築補助金を申請しようと考えている事業者にとって、いつまで公募があるのか気になるところです。本記事では、すでに終了した第1回公募から第5回公募までの情報を掲載し、今後行われる第6回公募について詳細に記載しました。事業再構築補助金の申請を検討している事業者は、本記事を参考にしてはいかがでしょうか。
目次
事業再構築補助金はいつからいつまで?
事業再構築補助金の公募は、令和3年から行われています。現在のところ、第5回まで公募が行われましたが、今度行われる第6回を含め、詳細をまとめてみましょう。
事業再構築補助金第1回公募期間
第1回の公募スケジュール(終了)
公募開始:令和3年3月26日(金)
申請受付:令和3年4月15日(木)
応募締切:令和3年4月30日(金)※システムトラブルにより5月7日(金)18時に延長されました。
結果発表:令和3年6月16日(水)18時発表
事業再構築補助金第2回公募期間
第2回の公募スケジュール(終了)
公募開始:令和3年5月20日(木)
申請受付:令和3年5月26日(水)
応募締切:令和3年7月2日(金)
結果発表:令和3年9月2日(木)18時発表
事業再構築補助金第3回公募期間
第3回の公募スケジュール(終了)
公募開始:令和3年7月30日(金)
申請受付:令和3年8月30日(月)
応募締切:令和3年9月21日(火)
結果発表:令和3年11月30日(火)18:00
事業再構築補助金第4回公募期間
第4回の公募スケジュール(終了)
公募開始:令和3年10月28日(木)
申請受付:11月中
応募締切:令和3年12月21日(火)
結果発表:令和4年3月3日(木)
事業再構築補助金第5回公募期間
第5回の公募スケジュール(終了)
公募開始:令和4年1月20日(木)
申請受付:令和4年2月17日(木)
応募締切:令和4年3月24日(木)
結果発表:令和4年6月上旬~中旬
事業再構築補助金第6回公募期間
第6回の公募スケジュール(公募開始)
公募開始:令和4年3月28日(月)
申請受付:令和4年5月下旬~6月上旬予定
応募締切:令和4年6月30日(木)18:00
結果発表:令和4年8月下旬~9月上旬予定
事業再構築補助金がいつまで行われるか、今のところわかりませんが、上記のように年に数回の公募があるので、事業再構築補助金の申請を検討している方は、今後の公募スケジュールに合わせて、申請するといいでしょう。これまでに、いくつかの補助金が終了していますが、ある補助金が終了すると、その補助金に改善を加えた新たな補助金が誕生しているので、今後事業再構築補助金が終了したとしても、同様の新たな補助金が作られるものと思われます。
第6回公募からの変更点
第6回公募から、「グリーン成長枠」が追加されます。グリーン成長枠というのはいわゆる俗称で、正式名称は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」というものです。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの地球温暖化の原因となる物質の排出量を、実質ゼロにすることを指します。
日本は2020年10月に、世界に向けて「2050年カーボンニュートラル」を宣言しています。これを実現するために、今後成長が期待される分野の、カーボンニュートラルへの取り組みをまとめたのが、「グリーン成長戦略」と呼ばれるものです。
カーボンニュートラルについて
地球温暖化の原因となるのは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスです。上記で触れましたように、カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を中心とした、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする取り組みです。実質ゼロとは、「全体としてゼロ」とも言われますが、要するに「温室効果ガスを排出した量から、除去したり吸収した量を引いた結果をゼロにする」ということです。除去したり吸収する方法として、植林や緑化の促進のほか、温室効果ガスを地中や海中に埋める方法などがあります。
また、二酸化炭素を排出する化石燃料のかわりに、光合成で作ったバイオ燃料を使う方法も、カーボンニュートラルに当たります。日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しましたが、世界の多くの国が同様の宣言をしており、2050年までのカーボンニュートラルを宣言しているのは、124か国と1地域にのぼっています。地球温暖化を抑えるには、カーボンニュートラルは必須と言えるでしょう。
しかし、カーボンニュートラルと経済成長を両立させるのは、容易ではありません。実行するしかないのはわかっていても、並大抵の努力では実現できないので、これまでの産業構造を根本から変革する必要があります。そのため、個々の企業でも、ビジネスモデルの見直しが必要になっています。これに伴って2021年6月に発表されたのが、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」なのです。
グリーン成長戦略で期待されること
グリーン成長戦略により、脱炭素化に向かう状況を、ビジネスチャンスととらえる向きもあるようです。そこで、脱炭素化に資金を投資する企業を支援するために、さまざまな施策が設けられています。その中で、今後成長が期待される分野として、14の産業分野が選ばれ、それぞれに目標が設定されました。14の産業分野の内訳は、「エネルギー関連産業」の中の4分野、「輸送・製造関連産業」の中の7分野、「家庭・オフィス関連産業」の中の3分野です。
2050年カーボンニュートラルを実施すると、国民の生活にも大きなメリットがあるとされています。たとえば、洋上風力や太陽光、地熱を利用した発電により、電気料金が安くなるというのも1つの例です。2050年カーボンニュートラルが実施されると、国民の生活が窮屈になるのではないかと、懸念する声もありますが、実際はメリットも多く、かえって国民生活が潤うようになります。しかし、2050年カーボンニュートラルを実現するには、企業も多額の投資をしなければなりません。
そこで、企業の技術開発や設備投資を支援するために、事業再構築補助金に、グリーン成長枠が新設されることになったのです。グリーン成長枠の補助上限は、中小企業で1億円(補助率1/2)、中堅企業で1.5億円(補助率1/3)ですから、通常枠と比べると、かなり手厚い補助が受けられる仕組みになっています。グリーン成長枠は、ものづくり補助金にも新設されることになっており、2050年カーボンニュートラルが具体化していけば、さらにグリーン成長枠を新設する補助金が、増えてくるかもしれません。
事業再構築補助金申請スケジュールにおける注意事項
事業再構築補助金の申請には、3つの注意点があります。これらの注意点を、よく理解した上で申請しないと、トラブルになったり、申請が通らないこともあるので気をつけましょう。
交付決定後の着手が原則
事業再構築補助金の申請は、事前着手申請をして承認された場合を除き、交付決定後に着手しないと補助金は支給されません。これは他の補助金も同じで、「補助事業実施期間内に生じた経費のみが補助対象経費となる」と定められているからです。補助事業実施期間は、交付決定通知書に記載された、交付決定日が実施期間の開始日となるため、事業の着手はこの日付以降にしないと、補助金が下りないので注意しましょう。
採択結果が発表されると、補助金が使えると勘違いしがちなので、気をつけなければなりません。ちなみに、事前着手申請とは、何らかの事情で、交付決定日まで補助事業の開始を待てない場合に、事前着手を申請するものです。これは、申請したからといって、必ずしも承認されるとは限りませんが、承認されれば、交付決定日前に補助事業に着手しても、補助金の支給に影響することはありません。ただし、事前着手が承認されても、補助金申請そのものが不採択となった場合は、すべて自費でまかなうことになるので注意が必要です。
補助金交付申請額が3千万円以上の場合の注意点
補助金交付申請額が3千万円以上の場合は、金融機関の確認書が必要になります。この確認書は金融機関が用意してくれますが、確認書の発行までに時間がかかるので、余裕をもって準備することが大切です。金融機関によっては、事業計画書の提出を求められることもあるので、こちらも早めに用意する必要があります。事業計画書をしっかり作るには、かなりの時間を要するので、補助金申請ギリギリに、作成が完了することも多いでしょう。
そのため、金融機関の確認書が必要な場合は、事前に金融機関に、事業計画書が必要かどうか、問い合わせることをおすすめします。もし必要なら、事業計画書の作成を優先しないと、確認書が間に合わなくなるおそれがあります。いずれにしても、金融機関の確認書は、補助金申請時に提出する必要があるので、早めに確認書を作ってもらえるよう、金融機関に依頼しておきましょう。
ネットワークの不具合に注意
事業再構築補助金の第1回申請時に、システムエラーが発生して締め切り日が延長されました。この場合は、エラーの原因が事務局側にあったので、このような特例措置が取られましたが、エラーの原因が申請者側にある場合は、こういった救済措置が取られることはないと、考えたほうがいいでしょう。
つまり、申請者側の機器障害や、ネットワークの不具合が原因で申請できなかった場合は、申請をあきらめるしかないということです。そのため、申請手続きは早めに行って、期日ギリギリの申請は控えるようにしましょう。
事業再構築補助金の公募期間やスケジュールに関するお問い合わせ
事業再構築補助金を申請する前に、いろいろと質問したいことや確認事項があるかもしれません。その場合は、以下のメールフォームを使うと、簡単に質問することができます。
https://www.monodukuri-hojyokinn-everest.com/contact-us/
電話でのお問い合わせはこちらです。
052-583-8848
ちなみに、問い合わせを受け付けてくれるのは以下の事業者です。
行政書士法人エベレスト
株式会社エベレストコンサルティング
ものづくり補助金等支援事業部
〒450-0002
愛知県名古屋市中村区名駅五丁目3番6号 神谷ビル6階
行政機関の問い合わせ先
事業再構築補助金の受付や、申込みに関する相談窓口やお問い合わせ先は、以下のとおりです。
経済産業省:「事業再構築補助金」
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html
電話でのお問い合わせは、以下の番号にかけてください。
<事業再構築補助金事務局コールセンター(経済産業省)>
受付時間: 9:00~18:00(日曜・祝日を除く)
電話番号:
<ナビダイヤル>0570-012-088
<IP電話用>03-4216-4080
<事業再構築補助金事務局システムサポートセンター(経済産業省)>
受付時間:9:00~18:00(土日祝日を除く)
電話番号:050-8881-6942
中小企業等事業再構築促進事業 質問フォーム
https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/keieisien02/saikouchiku
申請前に着手すべきこと
事業再構築補助金を申請する場合、以下の項目は早めに着手しておきましょう。ここに挙げたものは、それほど手間はかかりませんが、申請の際に必ず必要になるものばかりです。申請日が近づくと、他の書類等の準備で忙しくなるので、その前にこれらを用意しておくことをおすすめします。
GビズプライムIDを取得する
事業再構築補助金の申請には、GビズプライムIDの取得が必須となります。事業再構築補助金は電子申請のみで行われますが、その際にGビズプライムIDが必要になります。GビズプライムIDは、さまざまな行政サービスを利用できる認証システムで、1社につき1つのIDが発行されます。アカウントを申請すると、1週間程度で発行されますが、忘れないように早めに申請しておきましょう。
認定支援機関を探す
事業再構築補助金を申請する際に、事業計画書を提出しなければなりませんが、事業計画書は認定支援機関のサポートを受けながら、策定することが義務付けられています。また、申請だけでなく、補助事業完了後の報告書作成においても、認定支援機関のサポートを受ける必要があります。そのため、優良な認定支援機関を選ぶことが大切です。ネット上に、認定支援機関を探せる窓口が、いくつかあるので検索してみましょう。
売上に関する資料を用意する
事業再構築補助金の申請の際に、売上に関する資料が必要になります。この資料には確定申告書や決算書なども含まれるので、早めに準備しておきましょう。資料に不備があったり漏れがあると、申請しても通らないので、提出する前に十分なチェックが必要です。
金融機関と相談する
事業再構築補助金は、原則として後払いなので、補助事業にかかる費用は一旦自費で支払う必要があります。そのため、事前に金融機関に相談して、資金を調達しておかなければなりません。補助金を受けるからといって、その分の費用が不要なわけではないので、勘違いしないようにしましょう。また、補助金を申請しても、採択されない場合もあります。
その場合は全額自費負担となるので、やはり金融機関の融資を受けておくことは大切です。もちろん、銀行の融資を受けなくても、すべて自費で賄えるのであれば別ですが、そうでなければ、融資の約束を取り付けておく必要があります。また、すべて自費で賄える場合でも、金融機関の確約書があるのとないのとでは、事務局の審査員の心証が違うので、なるべく金融機関の確約書を用意しておきたいものです。
過去の採択結果をチェックする
事業再構築補助金は、採択結果の詳細な情報が公式サイトに掲載されています。他の補助金では、採択結果は公表されていないので、事業再構築補助金だけが行っている取り組みです。過去の採択結果を見れば、どのような計画を立てれば、採択されやすいのかがわかるので、ぜひ参考にしましょう。
補助対象と補助対象外の実例
事業再構築補助金の補助対象の例と、補助対象外の例をご紹介しましょう。具体的に、補助対象になった例とならない例を見比べることによって、自社が行おうとしている事業が、補助対象になるかどうか判断することができます。
補助対象の経費例
建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復等を含む建物費は、補助対象になります。また、機械設備やソフトの購入、リース料などを含むシステム構築費、クラウドサービス利用費なども補助対象です。知的財産権導入に要する経費や、製品の製造に関する外注費も補助対象となります。このほか、広告宣伝費や展示会出展等の販促費用、社員教育のための研修費も対象となります。
補助対象外の経費例
補助対象とならない経費の例として、まず従業員の給料や出張費、交通費などが挙げられます。不動産、株式、公道を走る車両、社員が使うパソコンやスマホ等の購入費も、対象外となります。また、フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費なども対象外です。
上記の対象となる経費と、ならない経費を見比べて、自社が補助経費として計上しようとしている経費が、どちらに該当するか判断することが大切です。
採択されやすい例とされにくい例
では次に、採択されやすい例と、されにくい例を見てみましょう。採択されやすい例とされにくい例がわかれば、自社が行おうとしている補助事業が、どちらに該当するか、おおよその判断がつくでしょう。自社の補助事業が採択されにくいとわかれば、事前に改善できる可能性も出てきます。
採択されやすい事業計画の例
まず、事業再構築補助金の対象となるのは、経済産業省の「事業再構築指針」の中で示されている、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」または「事業再編」の5つのうちの、どれかでなければなりません。これらのどれにも該当しなければ、そもそも事業再構築補助金を申請すること自体が、無駄になってしまいます。
では次に、事業再構築補助金に該当する、具体的な事例をご紹介しましょう。
具体例1
新分野展開と認められる例をご紹介します。新分野展開は、事業内容はそのままで、新たな商品を生み出して、新規市場に参入する事業の場合に該当します。
都心の駅前のビジネスホテルが、利用客が激減したために、客室の一部をテレワークや、オンライン会議に使えるように改装し、パソコン等を導入して3年の事業計画終了時点で、テレワーク事業の売上が、総売上の10%以上となる計画を策定して採択されました。
具体例2
事業転換と認められる例です。主たる業種を変更せず、主たる事業を変更して、新たな商品を開発するのが事業転換です。
売上が落ち込んだ日本料理店が、換気を徹底することから、コロナの感染リスクが低いことに着目し、焼き肉店を新たにオープンしました。3年間の事業計画終了時点で、焼き肉店の売上が日本料理店を含めた、総売上の10%を超える計画を策定し、採択されました。
具体例3
業種転換と認められる例です。新たな商品を売り出して、主たる業種を変更する事業計画が、業種転換に該当します。
レンタカー業者が、ファミリー向けの貸切ペンションを経営して、レンタカーと組み合わせた、宿泊プランを提供する事業計画を立てました。3年間の事業計画終了時点で、レンタカーと貸切ペンションの売上高構成比が、最も高くなる計画を策定して採択されました。
具体例4
業態転換と認められた例です。商品の製造方法を変更する事業計画が、業態転換に該当します。
ヨガ教室を開いていた事業者が、利用客が激減したので店舗を縮小し、オンラインによるヨガ教室を開設して、3年間の事業計画終了時点で、オンライン教室が総売上高の、10%以上となる計画を策定して採択されました。
具体例5
事業再編と認められた例です。同業の会社を吸収合併して新たな会社を作り、新規事業を起こして3年間の事業計画終了時点で、合併前の2社の売上合計より、10%以上売上がアップする計画を策定して採択されました。
採択されにくい事業計画の例
ではここから、採択されにくい例を見ていきましょう。そもそも事業再構築補助金の対象とならない、あるいは対象になりにくい事業計画は、採択される可能性が低くなります。
採択されにくい例1
不動産賃貸業や太陽光発電事業などは、そもそも事業再構築補助金の対象ではないので、申請しても採択されることはありません。
採択されにくい例2
事業内容に具体性がなく、資金調達に関して、しっかり明記されていない事業計画は採択されません。
採択されにくい例3
明らかに売上アップが見込めない事業計画も、採択されにくい傾向があります。また、野外キャンプ場を運営していた事業者が、市街地に飲食店を開くといった、屋外施設から屋内施設に運営拠点を移すような計画は、コロナ感染対策に逆行するため、採択される可能性は低いと思ったほうがよさそうです。
まとめ
事業再構築補助金の公募は、令和3年3月26日(金)から始まり、すでに第5回公募まで終了しています。令和4年3月28日(月)にスタートした第6回公募では、2050年カーボンニュートラルを視野に入れた、グリーン成長枠など、新たな枠組みが加えられています。事業再構築補助金の申請には、事業計画をはじめ、多くの書類が必要になるので、早めに準備しましょう。また、事業再構築補助金を申請しても、採択されやすい事業とそうでない事業があるので、どうすれば採択されやすくなるのか、事前に調べることも大切です。
事業再構築補助金